加齢に伴い、少しずつ気になり始める生え際の後退。いつの間に?なんで?と、様々な疑問が浮かぶ方もいるでしょう。
この記事では、生え際の後退、いわゆる生え際はげ・M字はげの判断基準、原因、セルフケア、治療法をお伝えしつつ、医療機関を受診する際に役立つクリニックの選び方も解説します。
この記事でわかること!
【要チェック】生え際はげ・薄毛の判断基準
自分が生え際はげかどうか、ここでは3つの項目に分けて、生え際はげが起きているかどうか判断する方法をご紹介。実際に鏡を用意してチェックしてみましょう。
以前よりも生え際のM字が目立つ
まずは、以前よりも生え際のM字が目立っているかどうかをチェックします。M字はげとも言われる生え際はげは、文字通り前髪の左右が特に後退することで生え際のラインがM字型になってしまうのです。
もともと富士額の方もいますが、それでも以前よりM字型が目立つようなら生え際はげが進行している可能性があります。鏡で見るだけでなく、以前の写真などを用意して比較するとわかりやすいです。
生え際の髪が他の部分より細い
次に、生え際の髪が他の部分と比べて細くなっていないかを確認してみましょう。薄毛の症状では、髪が弱り細くなってしまうという共通の特徴があります。
前髪のあたりの髪の毛を観察し、他と比べて細く弱々しい状態になってしまっていないかチェックしてみてください。
額の生え際から指2本以上後退している
最後に、額の生え際から、Mの山部分が指2本以上後退しているかどうかをチェックします。あくまで一般的な測り方ですが、目を開いて眉を上げ額にしわを出します。しわから生え際に向かって指2本分の幅、もしくはもっと幅がある場合は生え際ハゲの進行が疑われます。
もともと額が広い方や、そもそも富士額でやや上に生え際があったという方は自分なりに判断してみてください。
あくまで一般的な測り方であるため、不安が残るようならクリニックでチェックしてもらうのもおすすめです。
生え際がはげる5つの原因
生え際がハゲる理由には、以下の5つのような原因が考えられます。
それぞれの原因について詳しく解説します。
AGA(男性型脱毛症)
生え際はげの原因として、AGA(男性型脱毛症)が発症している可能性が挙げられます。
AGA(男性型脱毛症)とは、一部の男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素の働きで変化し、ジヒドロテストステロンという悪性ホルモンになることで起こる脱毛症です。
ジヒドロテストステロンは毛母細胞の分裂を阻害し、発毛サイクルを乱す働きをしてしまいます。
AGA(男性型脱毛症)は緩やかに進行する脱毛症であり、5αリダクターゼが多く存在する頭頂部と生え際から症状が現れます。
男性の生え際はげが気になる場合はAGA(男性型脱毛症)が発症している可能性があります。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症とは、文字通り引っ張られたことによって起こる脱毛症です。
オールバックやポニーテールなど、前頭部を後ろへ引っ張るような髪型を長期間続けていた場合に起こりやすいため、同じ髪型を続けている方は要注意です。
職業柄同じ髪型を続けなくてはならないなどの理由で、ポニーテールやカチューシャなどを続けていると牽引性脱毛症を発症しやすくなります。
また、いつも結んでいる髪の毛のボリュームダウン、切れ毛の増加、枝毛の発生なども併発することがあります。若い世代にも発症する可能性がある脱毛症であるため、年齢を問わず注意が必要です。
自律神経やホルモンバランスの乱れ
自律神経やホルモンバランスが乱れることで、生え際の薄毛が起こることがあります。まず自律神経とは、臓器の働きを調整する神経。自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれ活発なときとリラックスするときで交代して優位になります。
2つの自律神経がバランスよく交代して働くことで、身体の健康は保たれていますが、ストレスを受け続けるなどの異常があると交感神経が優位になり続けてしまうのです。
交感神経優位の状態はいわゆる緊張状態であり、身体には負担がかかる状態となります。血流の不足や睡眠不足を引き起こし、発毛や育毛においては栄養不足と成長ホルモンの不足などに繋がります。
自律神経やホルモンバランスの乱れは、育毛や発毛のサイクルを乱す原因であるため要注意。ストレスをきちんと発散したり、規則正しい生活を送ったりと日常的にケアすることが大切です。
偏った食事
偏った食事をしていると、髪に必要な栄養が不足してしまうことがあります。
髪の成長には様々な栄養素が必要であり、それらは食事によって体内に摂取できるものです。そのため、偏った食生活で栄養バランスが摂れていないと髪が育たず、薄毛が生じてしまいます。
タンパク質、ビタミン、亜鉛といった栄養素をきちんと摂取できているか、食生活を改めてチェックしてみてください。
タンパク質は髪、皮膚、内蔵の原料であり、ビタミンは代謝サポート、亜鉛は髪の生成に欠かせないミネラルです。肉、魚、大豆類、野菜、果物、海藻など幅広い食材を取り入れて、バランスの良い食事をするよう心がけましょう。
遺伝
薄毛は遺伝することが多い症状の1つです。特にAGA(男性型脱毛症)については遺伝が大きく関わっており、血縁者に発症者がいる場合高い確率で発症すると言われています。
AGA(男性型脱毛症)の原因である5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性のうち1つ、あるいは両方を親から引き継いでいる場合、子はAGA(男性型脱毛症)を発症する可能性が高くなります。
5αリダクターゼの活性度は優性遺伝であるため受け継ぎやすく、両親のどちらかが活性を持つ遺伝子があれば子にも引き継がれやすくなるので注意。
また、男性ホルモンレセプターの感受性は隔世遺伝するため、親より上の世代や親族にAGA(男性型脱毛症)発症者がいる場合は注意してください。
生え際がはげてきたと感じたら|おすすめのセルフケア
続いて、生え際がはげてきたと感じたときにやるべきセルフケア4つをご紹介します。
生活習慣を見直す
まずは生活習慣を見直してみましょう。生活習慣の乱れは様々な身体の不調に繋がり、ストレスの原因にもなります。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を取り入れて過ごすよう意識してください。
睡眠時は髪に必要な成長ホルモンが巡るため、育毛や発毛にとって重要な時間です。深夜を含む7時間程度を目安に、まとまった睡眠時間を確保しましょう。
また、日常的に適度な運動をすることも重要です。軽い有酸素運動をすることで血行促進の効果が得られ、栄養や酸素が全身にきちんと巡るようになります。
通勤で歩く距離を稼いだり、ウォーキングやジョギングの習慣をつけたりして適度な運動をするようにしましょう。
食生活を改善する
生活習慣のうち、食事によって得られる栄養素は髪にとってとても重要です。
タンパク質、ミネラル、ビタミンといった栄養素は髪の生成や育成に欠かせないため、特に意識して摂取するのが好ましいと考えられます。
髪に必要な栄養素と、それらを得られる食材の例を表にまとめたので参考にしてください。
栄養素 |
主な食材 |
タンパク質 |
肉類、魚類、卵、豆類、乳製品 |
ビタミン |
野菜、果物、豚肉、レバー、大豆 |
亜鉛 |
レバー、魚介類、煮干し、パルメザンチーズ |
アミノ酸 |
魚類、鰹節、ごま |
また、糖分、塩分、脂質、アルコールは控えるようにするのがおすすめです。特にアルコールは分解するために一部の栄養素を消費するため、髪に栄養が回らなくなってしまう可能性があります。
栄養バランスを考えた食事をしつつ、アルコールは控えるようにしてみてください。
頭皮マッサージを行う
入浴前後などに頭皮マッサージを取り入れることも、薄毛対策に効果的です。
頭皮の血行不良が起こると、髪に必要な栄養を届けられなくなるため薄毛が進行しやすくなります。頭皮マッサージを習慣的におこない、血行を促進してあげましょう。
頭皮マッサージは以下の手順で簡単にできるので、今日からでも始めてください。
- 生え際から頭頂部にむかって、指の腹でほぐしていきます。おでこを持ち上げるイメージでグッと上げ、5秒キープ。指を元の場所に戻して1セットです。これを5回ほど繰り返しましょう。
- 側頭部を指の腹で円を描くようにほぐします。親指以外の4本で2~3回円を描きましょう。
- 両手で頭全体を包み、頭頂部から後頭部にかけてグッグッと圧していきます。2~3回繰り返しましょう。
- 親指以外の4本で、頭頂部にある百会のツボを10回ほど圧します。耳の付け根から頭頂部を通る線と、鼻から頭頂部へ向かう線が交差するところが百会のツボです。
頭皮環境を改善する
薄毛は頭皮環境の悪化によって起き、進行しやすくなります。そのため、頭皮環境の改善を意識して生活することが大切です。
頭皮環境の改善には、先述の生活習慣や食生活、頭皮マッサージなども効果的ですが、育毛剤を使うのもおすすめ。
育毛剤に含まれる成分の多くに、頭皮環境を整える効果が期待できるためです。育毛剤には発毛効果はありませんが、頭皮環境を整えて発毛や育毛をサポートするという効果が期待できます。
その他、スカルプケア用のシャンプーなどを取り入れるのもおすすめです。自分の肌質に合ったシャンプーなら、頭皮を清潔に保ちつつ、潤いや皮脂のバランスをきちんとキープできます。
頭皮環境の改善に力を入れるなら、育毛剤やスカルプシャンプーを使うのがおすすめです。
生え際がはげたときの4つの治療方法
生え際がはげてしまったときは、主に4つの治療法で改善を目指します。原因である脱毛症によって治療法は異なりますが、ここでは脱毛症の多くで採用される治療法をピックアップしてご紹介します。
自由診療治療につきましては健康保険などの公的医療保険が全く使えないため、治療費が高くなります。
また一部の自由診療については医療費控除の対象となる診療もございますがAGA治療においては容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的要素が強いため医療費控除の対象外になります。
内服薬:推奨されている治療法
内服療法は、推奨されている治療法です。脱毛原因に作用したり、発毛を促したりする薬剤を内服し、内部からの働きで薄毛を改善していきます。 【治療の副作用・リスク】個人差や体質により、下記事項が発生する可能性もありますのでご注意ください。
外用療法と一緒におこなうこともありますが、内服療法のみで治療していく場合もあります。脱毛の原因や進行度によって異なるため、医師の指示に従いましょう。
AGA(男性型脱毛症)の内服療法では、5αリダクターゼの働きを弱めるデュタステリドやフィナステリドなどを用います。増毛効果もあるため、効率的な薄毛の改善が期待できます。
副作用としては、性欲減退や勃起不全、肝機能障害などがありますが発現は稀です。
主な副作用
フィナステリド(プロペシア錠)
デュタステリド(ザガーロ)
ミノキシジル(内服薬)
ミノキシジル(外用薬)
メソセラピー
植毛
リビドー減退
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勃起不全(ED)・射精障害・精液量減少
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血管浮腫
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立ちくらみ・めまい
〇
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血圧低下
〇
〇
抑うつ
〇
〇
肝機能障害
〇
〇
〇
〇
アレルギー反応(発疹・痒み)
〇
〇
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多毛症
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〇
〇
〇
動悸
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むくみ
〇
初期脱毛
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〇
〇
〇
〇
頭皮のかゆみ、かぶれ、赤み、炎症など
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〇
〇
〇
吐き気、食欲不振、腹痛、下痢
〇
〇
〇
傷跡・ショックロス
〇
味覚異常
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〇
頭痛・フケ
〇
外用薬:男女関わらず薄毛治療に効果的
外用療法も使われることが多い治療法です。
外用療法ではミノキシジルを含む薬剤が使われます。ミノキシジルとは、発毛効果が認められている薬剤であり、薄毛治療では頻繁に使われています。
ミノキシジルには毛母細胞を増殖させたり、ヘアサイクルの成長期を延長させる効果が期待できるため、薄毛の治療に効果的であると考えられます。副作用としては、塗布部分の痒みやかぶれが挙げられます。
注入療法:治療効果が出やすい
注入療法は、治療効果が出やすいことが大きなメリットである薄毛治療と言われています。メソセラピーやHARG療法があり、それぞれ頭皮に直接有用成分などを注入する治療法です。
メソセラピーでは皮下注射で髪の成長を促す成分を注入し、発毛を促します。
HARG療法は、脂肪由来の幹細胞から抽出した成長因子を頭皮に注入し、髪の成長を促す治療法です。メソセラピーの一種であり、クリニックによって表示が異なります。
ただし、注入療法はガイドラインではあまり推奨されていません。医療では「侵襲性の少ない治療からおこなう」ことが鉄則であり、効果面やリスク面の検証が不十分であるため、注入療法は今後に期待されてはいるものの推奨度は低い分類とされています。
自毛植毛:長期的に生え替わり続ける
自毛植毛は、自分自身の発毛組織を移植する手術のことです。長期的にきちんと生え変わる状態を保てるため、効果的な治療法として認められています。
自毛植毛では、脱毛症を発症していない部位の発毛組織ごと薄毛部分に移植します。自分自身の肌や細胞を移植するため拒絶反応が出ないというメリットがあり、しっかりと効果が見込めることが強みです。
ただし、費用が高額であること、痛みや合併症といった手術に伴うリスクがある点がデメリットとして挙げられます。
早めの対応が重要なのでまずは専門医に相談し、治療プランを立てましょう。薬物療法が効果的な場合があります。ヘアケアと健康的な生活を心掛けることも大切です。専門医の指導に従い、適切な治療と定期的なフォローアップを行うことで、薄毛の改善が期待できます。
失敗しない!AGAクリニックの選び方
最後に、薄毛治療をメインに扱うAGAクリニックの選び方について、4つのポイントをお伝えします。
通いやすい場所にあるか
まずは通いやすい場所にあるクリニックに絞り込みましょう。薄毛治療は短期間で終わることはほぼありません。半年以上、AGA(男性型脱毛症)ならずっと長く続ける必要があります。
長く通い続けるため、行きやすい場所にある事が重要なのです。職場や自宅から気軽に行ける範囲でクリニックを探してみてください。
薄毛治療の種類が多いか
次に、薄毛治療の種類をチェックしましょう。例えば、内服と外用のみ扱っている場合、それらを希望しないときに改めて別のクリニックを探さなければなりません。
また、過去の症例などが明記してあるかどうかも重要なチェックポイントです。どのような症状に対し、どのような治療法を採用したのかを確認できます。
薄毛治療の種類がどれくらい用意されているのかをチェックしてみましょう。
価格は予算にあっているか
治療にかかる価格を、クリニックごとに比較して検討してください。
薄毛治療の多くは保険適用外の自由診療です。(※)自由診療はクリニックごとに価格が異なるため、事前に調査し比較検討することが大切。予算内で治療を続けられるかを確認しておきましょう。
※炎症が起きていたり、治療によって副作用が生じたりした場合、状況に応じて保険適用となることがあります。
無料カウンセリングを実施しているか
最後に、無料カウンセリングの有無をチェック。最初に無料相談を受け付けているクリニックなら、気軽に話を聞きにいけます。
無料カウンセリングをおこなっているAGAクリニックは多いので、公式HPなどで事前に確認してみてください。
まとめ
生え際の後退、生え際はげは、M字はげとも呼ばれ多くの方を悩ませています。
生え際がはげている場合、AGA(男性型脱毛症)、牽引性脱毛症、自律神経やホルモンバランスの乱れ、偏った食事、遺伝といった原因が考えられます。
生活習慣や食生活、頭皮マッサージ、頭皮環境の改善などで生え際はげを治せる場合もありますが、多くの場合はクリニックでの治療がおすすめです。
薄毛治療をおこなうクリニックでは、内服、外用、注入、自毛植毛などの治療法があり、体質や症状に合わせて治療法が選択されます。
薄毛はいずれも放置せず、早めにクリニックでの治療を受けるのがおすすめ。早ければ早いほど治療しやすく、コストも抑えられます。
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