AGAまたは男性型脱毛症という言葉を聞いたことはありますか?
どんな病気なのか、改善させることはできるのか?気になる方も多いでしょう。
この記事では、AGA(男性型脱毛症)についての情報を解説します。男性型脱毛症とは何か、特徴、原因、セルフチェック、治療法、よくある質問をまとめました。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること!
AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンによる脱毛症
男性型脱毛症とは、AGAとも呼ばれる薄毛や抜け毛が起こる病気です。
一般的に男性ホルモンは毛を濃くする方向に働きますが、男性ホルモンが5αリダクターゼによってジヒドロテストステロンに変換されると、毛母細胞の分裂が抑制されて毛の軟化や脱毛を引き起こします。
男性ホルモンも5αリダクターゼも身体にとっては重要な存在であるものの、毛髪にとってはマイナスに働いてしまうことがあります。
男性ホルモンによって引き起こされるため「男性型」と呼ばれるAGAは、男性ホルモンを多く持つ男性に起こりやすい疾患。思春期から徐々に進行し、中高年では多くの場合目に見える薄毛が発症します。
AGA(男性型脱毛症)の3つの特徴
男性型脱毛症には、他の脱毛症とは異なる3つの特徴があります。ここでは、男性型脱毛症特有の特徴をご紹介します。
思春期以降の男性に発症することが多い
男性型脱毛症は、思春期以降の男性ホルモン増加に伴い発症することが多い病気です。
20歳以降に発症するケースが多いものの、人によっては10歳代であったり50歳代や60歳代であったり個人差があります。
頭頂部やおでこの生え際の薄毛が進行する
男性型脱毛症では、頭頂部やおでこの生え際から薄毛が始まり、拡大していきます。
これは、男性型脱毛症の発症に大きく関わっている5αリダクターゼが、生え際や頭頂部に多く存在しているためです。
側頭部や後頭部より5αリダクターゼが多い分、ジヒドロテストステロンも多く生成され症状が進行しやすくなってしまうため、男性型脱毛症では頭頂部や前頭部の進行が目立つ傾向にあります。
放置するとどんどん進行する
男性型脱毛症は進行性の病気であるため、放置しているとどんどん進行していきます。また、完治は難しいとされていることも男性型脱毛症の特徴です。
ただし、AGA治療を受ければ進行を阻止したり、毛量の回復を図ったりすることができます。
早期であればあるほど進行を妨げることは容易であるため、男性型脱毛症を発症したら放置せず、可能な限り早期に治療を開始することが大切です。
AGA(男性型脱毛症)の主な原因
男性型脱毛症の主な原因は、3つあります。
- 男性ホルモンの働き
- 親族からの遺伝
- ストレスや生活習慣の乱れなど
それぞれ詳しく解説します。
男性ホルモンの働き
1つ目は、男性ホルモンの働きによるものです。
男性型脱毛症は、男性ホルモンが5αリダクターゼと結合して生成されるジヒドロテストステロンの働きで毛母細胞の分裂が阻害されることで起こる症状です。
そのため男性ホルモンを多く持つ男性のほうが女性より発症しやすく、進行も早いという特徴があります。
男性ホルモンは通常、体毛を濃くする働きがありますが、ジヒドロテストステロンが生成されると逆に毛を軟化させてしまいます。男性ホルモンがマイナスに働くことによって、男性型脱毛症は発症します。
親族からの遺伝
2つ目は、親族からの遺伝です。実は、男性型脱毛症は遺伝によって発症率が大きく左右されます。父親や祖父など、近い親族に男性型脱毛症発症者がいる場合、自分自身も遺伝的に発症しやすいと考えて良いでしょう。
また、男性型脱毛症を発症しやすい遺伝子を持っているかどうかを検査できるクリニックもあります。
自分が遺伝的に男性型脱毛症を発症しやすいのかを知っておくことは予防にも役立つため、気になる場合はAGA専門クリニックを受診しましょう。男性型脱毛症は、遺伝子によって発症率が大きく左右され、親族内に発症者がいる場合は要注意です。
ストレスや生活習慣の乱れなど
男性型脱毛症は、ストレスや生活習慣の乱れをきっかけに発症することがあります。
男性型脱毛症に限らず、脱毛症は頭皮環境の悪化によって進行する場合があるため、心身ともにストレスを溜め込まない生活をすることが重要です。
ストレスは血管を収縮させてしまうため、溜め込むほど体内で栄養を上手く回せなくなってしまいます。頭皮への栄養も不足しがちになり、結果的に頭皮環境の悪化を招く形になります。
頭皮環境が悪化すると、ヘアサイクル(髪の生え変わりのサイクル)が狂ってしまったり、皮膚炎を起こしたりします。
髪が生えにくい、育ちにくい状態は脱毛症を進行させる原因となるため注意が必要です。
また、食生活や睡眠など生活習慣が乱れている場合にも脱毛症が進行するリスクが高まります。
髪や頭皮に必要な栄養素を食事で摂り、髪の成長ホルモンが十分に分泌されるように長く質の良い睡眠を取るといった健康的な生活習慣ができていないと、脱毛症が進行しやすくなります。
男性型脱毛症は、ストレスや生活習慣の乱れによって発症リスクが高くなり、また進行も早くなってしまいます。
AGA(男性型脱毛症)を自身で確認する5つのポイント
自分が男性型脱毛症になっているのか不安になっている方に向けて、セルフチェックできるポイントをまとめました。
1つでも当てはまる症状があれば、一度皮膚科やAGA専門クリニックを受診することをおすすめします。
抜け毛が増えてきた
寝起きの枕や、シャンプー後の手に抜け毛が増えたと感じることがあれば、男性型脱毛症になっているかもしれません。正常な抜け毛は1日に100本未満と言われており、異常があると抜け毛は100本を超えてしまいます。
1本ずつ数えることは難しいのであくまで体感の話。増えた気がする、多い気がするなど些細な不安要素があれば、一度クリニックを受診してみるのがおすすめです。
おでこが広くなったと感じる
鏡を見たとき、おでこが広くなった気がしたら、男性型脱毛症が発症している可能性があります。前頭部は男性脱毛症の症状が出やすい部位の1つ。以前の写真と見比べるなどして、生え際をチェックしましょう。
男性型脱毛症はじわじわと進行するため、気づくのが遅れがちです。以前の写真と見比べるなどして、比較してチェックするのがおすすめです。
髪の毛が細く短くなっている
生えている毛や抜け毛が、以前より細く短くなっていたら要注意。男性型脱毛症が進行しているかもしれません。
男性型脱毛症では、髪のハリコシや太さが失われ、細い毛になっていきます。また、ヘアサイクルの乱れで髪が伸び切らずに抜けてしまうため、長い髪の毛が生えなくなることも覚えておきましょう。
ヘアサイクルが乱れる原因は男性型脱毛症以外にも考えられますが、いずれにしろクリニックを受診して医師に診てもらうことで改善方法が見つかります。
頭頂部の髪のボリュームが減った
頭頂部のボリュームが減ったり、頭皮が見えたりしている場合、男性型脱毛症が始まっている可能性があります。
頭頂部は、前頭部と並んで男性型脱毛症の症状が出やすい部位です。
正面から鏡を見るだけではわかりにくいですが、頭頂部のボリュームダウンを感じたり、手鏡などで見てみたときに頭皮がうっすら見えたりしたら要注意です。
親族に男性型脱毛症の人がいる
親族に男性型脱毛症の発症者がいる場合、発症する可能性が高いため注意してください。
男性型脱毛症は遺伝的な要因も大きく関わる脱毛症です。親族に男性型脱毛症の発症者が要る場合、他人事ではないことを覚えておきましょう。
早めに予防を始めるなどして対策を講じておけば、発症を遅らせることが可能です。
早期の治療が重要です。専門医に相談して適切な治療法を選びましょう。フィナステリドやミノキシジルが効果的です。健康的な食事とストレス管理も大切です。自己判断はせず、プロのアドバイスに従い、定期的なフォローアップを行うことで、より良い結果が期待できます。
AGA(男性型脱毛症)の治療法
男性型脱毛症には、主に3つの治療法があります。
内服療法(飲み薬)
男性型脱毛症の内服療法では、飲み薬によって男性ホルモンの働きを抑制して脱毛を和らげることを目的としています。フィナステリドやデュタステリドといった薬が用いられ、男性型脱毛症の原因である悪性男性ホルモンの生成を妨げます。
上記の2種類はいずれも性欲減退、勃起不全、射精障害、肝機能障害などの副作用を引き起こす可能性がありますが、発現は稀です。継続が前提の治療法であり、中断すると男性型脱毛症は再び進行を始めます。
外用療法(塗り薬)
男性型脱毛症の外用療法では、塗り薬によって毛乳頭細胞や毛母細胞を刺激して発毛を促すことを目的としています。認可されている成分であるミノキシジルを中心に、外部からの刺激によって脱毛症状の改善を目指す治療法です。
頭皮の痒みやかぶれなどの副作用が起こることがありますが、基本的に重大なリスクはない治療法と言えます。継続が前提の治療法であり、中断すると男性型脱毛症は再び進行し始めます。
自毛植毛術
自毛植毛術は、自分の頭皮のうち男性型脱毛症が未発症の部分を患部に移植することで正常なヘアサイクルに戻すことを目的としています。
発毛組織ごとの移植であり、自分自身の皮膚であることから成功率が高く、長期的に男性型脱毛症を抑え込める方法として注目されています。一度手術を受けたらあとは経過観察やメンテナンスのみなので、継続性がないことが大きなメリットです。
ただし、外科手術であるため合併症や費用面などといった複数のリスク、デメリットが伴います。
【治療の副作用・リスク】個人差や体質により、下記事項が発生する可能性もありますのでご注意ください。
主な副作用 | フィナステリド(プロペシア錠) | デュタステリド(ザガーロ) | ミノキシジル(内服薬) | ミノキシジル(外用薬) | メソセラピー | 植毛 |
リビドー減退 | 〇 | 〇 | ||||
勃起不全(ED)・射精障害・精液量減少 | 〇 | 〇 | ||||
血管浮腫 | 〇 | 〇 | ||||
立ちくらみ・めまい | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
血圧低下 | 〇 | 〇 | ||||
抑うつ | 〇 | 〇 | ||||
肝機能障害 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アレルギー反応(発疹・痒み) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
多毛症 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
動悸 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
むくみ | 〇 | |||||
初期脱毛 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
頭皮のかゆみ、かぶれ、赤み、炎症など | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
吐き気、食欲不振、腹痛、下痢 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
傷跡・ショックロス | 〇 | |||||
味覚異常 | 〇 | 〇 | ||||
頭痛・フケ | 〇 |
AGA(男性型脱毛症)のよくある質問
男性型脱毛症にまつわるよくある質問にまとめてお答えします。
AGA(男性型脱毛症)は治りますか?
男性型脱毛症は進行性の脱毛症であり、今のところ完治させる方法はありません。AGA治療とは、あくまで男性型脱毛症の進行を妨げる治療法であり、完治させることは難しいです。
薬の服用や治療を中断してしまえば、男性型脱毛症は再び進行を始めます。薄毛が気になる間、基本的には治療を続行する必要があります。
AGA(男性型脱毛症)の治療は保険が適用されますか?
男性型脱毛症の治療は、残念ながら保険適用外です。自由診療(自費診療)にあたる治療であるため、保険適用はできず、また医療控除の対象にもならないことに注意しましょう。
ただし、以下のようなケースでは保険適用となる場合があります。
- 頭皮に炎症が起きている
- 男性型脱毛症ではなく他の脱毛症や疾患による併発など
- 男性型脱毛症の治療によって身体に不調が起きた
医師と相談しつつ、保険適用になるかどうかも含めて相談してください。
自由診療治療につきましては健康保険などの公的医療保険が全く使えないため、治療費が高くなります。
また一部の自由診療については医療費控除の対象となる診療もございますがAGA治療においては容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的要素が強いため医療費控除の対象外になります。
AGA(男性型脱毛症)に困ったら早めに相談
遺伝や予兆に気づいたとき、まずは医師に相談することが大切です。男性型脱毛症は進行性の脱毛症であり、基本的に自分一人では進行を妨げることはできません。
専門クリニックや皮膚科で診断を受け、体質や進行度などに合わせた的確な治療をおこなうことで、薄毛に悩む日々から解放されます。
一般的なクリニックの他、最近ではオンライン診療も増えてきています。交通費の節約にもなりますし、人目を気にせず自宅などから手軽にAGA治療を始められるのでおすすめです。
また、クリニックによっては対面とオンラインの両方に対応していることもあるので、1度目は対面で診てもらい、その後はオンラインで相談するといった方法もあります。ライフスタイルや自分の性格に合わせて、ぴったりなクリニックを探してみてください。
まとめ
男性型脱毛症とは、AGAとも呼ばれる男性ホルモンが大きく関連する脱毛症。頭頂部や前頭部に多く存在する5αリダクターゼと男性ホルモンによって生成されるジヒドロテストステロンが毛母細胞の分裂を阻害することで脱毛が起こります。
狂ったヘアサイクルを戻すには、外用や内服での投薬治療が一般的に用いられる方法です。その他、自毛移植などの手術もありますが、費用面や手術に伴うリスクからまだまだメジャーな治療法ではありません。
抜け毛が増えたり毛が細くなったりし始めたと感じたら男性脱毛症の予兆かも。気づいたときは早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始しましょう。
完治が難しい男性型脱毛症は、予防も含め早めに対策することでランニングコストを抑えられます。オンライン診療なども活用しつつ、早めに対応してください。
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